今年もこの日がきました。
海霧に とけて我が身も ただよはむ
川面をのぼり 大地をつつみ
宮内康乃氏作曲の「海霧讃歎」は東日本大震災の津波で亡くなられた女性が生前に詠んだ和歌をもとに作られた聲明曲である。
2014年にこの公演を観に行っていたのだけれど、この前年に私は、何の前触れもなく大切な人を突如失っていて、津波や震災の犠牲者の方々への想いと、その自分自身の想いとが重なり公演中、涙が止まらなかった。でもそれはなにか、ただの悲しみというよりも、この世の無常を、死を、自分の中に受け入れるようなそんな気持ちの涙だった。3月11日に近い日に、やはり突然亡くなった友人への想いもあり、この時期は春の息吹に自然の移ろいを感じながら、人間が生きること、死ぬこと、そして自然と人との関係性をいつもよりもたくさん考え、想う。
この時の公演の副題である、金子大栄の言葉に私は救われた。
「花びらは散っても花は散らない」
言葉や音は生きている人を救い、祈りは死者を救うのだろうか。
聲明曲「海霧讃歎」ダイジェスト映像 The digest movie of Shomyo piece "Umigiri-Sandan"